コノハムシ科

コノハムシ科（学名：Phylliidae）は、ナナフシ目に属する昆虫の科の一つである。Phyllidaeは誤り。動物界全体の中でも最も顕著な葉への擬態をする。南アジアから東南アジア、オーストラリアにかけて分布する。以前は現在別の科に分類される種も多く含まれており、はるかに大きな分類群であった。

概要

東南アジアやオーストラリアに分布し、ジャングルに生息する。草食性で、雌は前翅が木の葉のようになっており、翅脈も葉脈と似ており、腹部や足も平たく、飾りのための平たい鰭もあり、木の葉に擬態している。一方、雄は細長い体型で、腹部のほとんどが露出しているため木の葉に似ていないが、後翅が発達していて飛ぶことができる。周囲の色によっては、黄色や茶色の個体も見られる。その擬態は非常に正確であるため、捕食者は本物の葉と見分けがつかないことが多い。一部の種では、体の端が噛み跡のような形になっている。捕食者をさらに混乱させるため、歩くときに前後に揺れ、風に吹かれる本物の葉を真似ている。

熱帯地方の人々の間では古くから知られていたが、おそらく西洋人で最初にコノハムシ科を記録した人物はアントニオ・ピガフェッタである。彼はフェルディナンド・マゼランの世界一周に同行し、修理のために船団が陸に上がった際に、バラバク島の動物相を研究し記録した。この間、彼はコノハムシ属の種について次のように記録した。

分類と系統

コノハムシ亜科は2003年以来2つの族に分けられている。この分類は最近の分子遺伝学的調査では確認されていない。化石属のエオフェリウムに加えて、コノハムシ亜科には13属が分類されており、そのうち8つは2017年以降に記載された。コノハムシ属には、以前は Pulchriphyllium、Comptaphyllium、Walaphyllium など、いくつかの亜属が認識されていた。3つの亜属は系統解析の結果、すべて別の属と見なされている。

2021年以降、形態学的研究に加えて、分子遺伝学的研究も系統発生の解明に多く取り入れられるようになった。その結果属間の一般的な関係が示されたが、雌雄を比較した場合、最近の属の明確な系統図はまだ提供されていない。

以下はCumming and Le Tirant (2022)による分子遺伝学的分析と形態学的調査に基づいて決定されたコノハムシ科の系統樹である。

下位分類

1亜科2族に分けられ、以下の属が分類されている。種は和名のあるものを挙げる。

• コノハムシ亜科 Phylliinae Brunner von Wattenwyl, 1893
  • Nanophylliini Zompro & Grösser, 2003
    • Acentetaphyllium Cumming & Le Tirant, 2022 - 4種
    • Nanophyllium Redtenbacher, 1906 - 11種
  • コノハムシ族 Phylliini Brunner von Wattenwyl, 1893
    • ヒメコノハムシ属 Chitoniscus Stål, 1875 - 3種
      • パラオコノハムシ Chitoniscus feejeeanus (Westwood, 1864)
    • Comptaphyllium Cumming, Le Tirant & Hennemann, 2019 - 3種
    • Cryptophyllium Cumming, Bank, Bresseel, Constant, Le Tirant, Dong, Soner & Bradler, 2021 - 24種
    • Microphyllium Zompro, 2001 - 2種
    • Phyllium Illiger, 1798 - 34種
      • ホンコノハムシ Phyllium siccifolium (Linnaeus, 1758)
    • Pseudomicrophyllium Cumming, 2017 - 2種
    • Pulchriphyllium Griffini, 1898 - 20種
      • ビオクラツムコノハムシ Pulchriphyllium bioculatum (G. R. Gray, 1832)
      • オオコノハムシ Pulchriphyllium giganteum (Hausleithner, 1984)
      • コノハムシ Pulchriphyllium pulchrifolium (Serville, 1838)
    • Rakaphyllium Cumming & Le Tirant, 2022 - 2種
    • Trolicaphyllium Cumming, Le Tirant & Büscher, 2021 - 3種
    • Vaabonbonphyllium Cumming & Le Tirant, 2022 - 2種
    • Walaphyllium Cumming, Thurman, Youngdale & Le Tirant, 2020 - 3種

絶滅種

4700万年前のエオフェリウムの化石は、コノハムシ科の祖先であり、現代のコノハムシと同じ特徴を多く示しており、その形態がほとんど変化していないことを示している。

脚注

関連項目

• ナナフシ
• 擬態